昭和40年男PRESENTS あのころ僕らは

2015年11月12日

トッツィー

昭和40年男が高校生だった80年代前半、メディアでは女装する男性やたくましい女性が脚光を浴びていた。その筆頭は81年に公開された角川映画『蔵の中』に主演し、「ニューハーフ」の言葉を生んだ松原留美子だろう。82年にスタートした『笑っていいとも!』(フジテレビ系)では、ゲイバーのママからタレントに転身したKINYAが松金よね子、渡辺めぐみと“よめきんトリオ”を結成し、その一方で西脇美智子が“ボディビル界の百恵ちゃん”として人気を獲得。83年にはスペースシャトル・チャレンジャー号に搭乗する、米国初の女性宇宙飛行士誕生がニュースになった。70年代のウーマンリブ運動を受けて、80年代は社会的、文化的に作り上げられた性別(ジェンダー)からの解放がいっそう進展し、従来の男らしさ、女らしさにとらわれない時代を迎えつつあったのだ。名優、ダスティン・ホフマンがまさかの女装姿を披露した『トッツィー』(米国のスラングで“カワイコちゃん”の意)はそんな社会的背景を象徴する作品のひとつといえよう。

本作が製作された82年は、他にもトランスベスタイト(女装や男装)を扱った映画が相次いでヒットした。ジュリー・アンドリュースが男に変装したうえで女装する歌手を演じる『ビクター/ビクトリア』や、性転換して女性になったフットボール選手が登場する『ガープの世界』などである。演じた俳優はダスティン・ホフマンを含め、いずれもアカデミー賞にノミネート。惜しくもオスカー獲得には至らなかったが、時代の変化を印象づける1年となった。日本では3作とも翌83年に公開されているが、本作は洋画7位の動員を記録。全米でもあの『E.T.』に次ぐ大ヒットとなり、82年度アカデミー賞の9部門にノミネートされるが、受賞は助演女優賞(ジェシカ・ラング)のみにとどまっている。

意表を突く設定で、性に対する固定概念を風刺した本作は87年4月の『ゴールデン洋画劇場』(フジテレビ系)でテレビ初放送。女装前、女装後、劇中劇のヒロインの3役を演じ分けたダスティンの声をコメディアンの小松政夫が担当したことも大きな話題となった。


男性から求婚されたり、レズビアンに間違えられたりする厚化粧の中年女優をダスティン・ホフマンが巧みに演じた

©1982 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
文:濱口英樹/構成:『昭和40年男』編集部

吹替洋画劇場 コロンビア映画90周年記念

『トッツィー』デラックス エディション

【初回生産限定】

詳しくはこちら

昭和40年男

昭和40年(~41年3月)生まれの男性のための情報誌。同世代の活躍を紹介したり、年齢的にそろそろ気になってくる健康面をサポートする記事の他、幼少から青春時代にかけての思い出を掘り下げて世代的ルーツ探る記事を多数掲載。「ノスタルジックな想い出が呼ぶ共感」を「明日を生きる活力」に変えることを命題に誌面づくりに取り組んでいる。
毎奇数月の11日発売・700円 http://www.s40otoko.com/