ほのぼの制作日記

2016年1月22日

私を育ててくれた「声優」という仕事

土井 美加

どーも!TJです。
新年もどうぞよろしくお願いいたします。
昨年は吹替の収録で終わりましたが、今年も吹替の収録でスタート。
今年もたくさんの吹替収録に携わることになりそうです!

本年の第1弾は土井美加さんです。
海外ドラマ「ロスト・ガール」の吹替版に出演してくださっていて、その間にインタビューさせていただくことができました。
私の中では土井さんといえば、どちらかというとアニメの印象が強いですが、みなさんはどうでしょうか?

土井美加

土井 美加(どい みか)
女優、声優、ナレーター。宮城県仙台市出身。趣味は旅、日本舞踊、三味線。
土井美加さんの出演作はこちら

TJ

いろんな方に聞いているのですが、どういうきっかけで声優になられたんですか。

土井美加

劇団昴に入って研究生になったばかりの頃、ちょうど業界全体に「新しい声優を育てよう」という機運があり、劇団の勧めで東北新社の声優オーディションを受けたんです。
そこで赤信号の小宮孝泰さんらと一緒に、演出家の伊達康将さん、佐藤敏夫さんに付いて色々と勉強させていただきました。それが原点ですね。
あの頃はお芝居と声優を同時進行で勉強させてもらい、いろいろな番組のオーディションを受けました。

そのなかで東北新社のテレビシリーズ「がんばれ!ベアーズ」の1年間のレギュラーを頂くことができ、それがきっかけでそれ以降もお仕事が頂けるようになったんです。

TJ

養成所ではなく、直接現場で学ばれたんですね。

土井美加

そうです。伊達さんも佐藤さんもお忙しかったので、その場で教えてもらっていました。
最初は右も左も分からない状態でしたので、レシーバーの片付け方など些細なこともすべて現場で覚えていきましたね。

毎日が一生懸命でしたが、上手くいかず声優は向いていないのではと悩んだこともあります。
西部劇の吹替で、何十人もの男性がかぶりかぶり話しているところに私が割って入って1人で話すシーンがあったのですが、上手く入れなかったり詰まったりで、何度もNGを出してしまいました。

その頃は今のように別撮りができませんでしたので、1人がNGを出したら全員で撮り直しです。
暗い部屋を一度明るくしてフィルムを巻き戻し、かけ替えて、そこから再度撮り直しといった具合です。その間、全員が待つことになります。

1~2回目は皆さん優しい言葉をかけてくれていたのですが、さすがに4回目くらいになると口数も減り、「いい加減にしろよ」という空気を感じて相当プレッシャーでした。

ただ、今になって分かるんですけど、そういう時って周りの先輩方も緊張するんですよね。せっかく新人が上手くできたのに自分がNG出したらどうしようとか、新人のシーンに行く前にNGを出すわけにはいかないというプレッシャーがあるんです。

今思うと、皆さんの口数が減っていったのは怒っていたわけではなく、皆さんも緊張されていたんだと思います。現場でのそういった経験1つ1つが勉強になりました。

TJ

現場でないと学べないことがたくさんありますね。

土井美加

ええ。私は学校に通うよりも現場で学ぶ方が合っていたように思います。

TJ

今は養成所に通う方が多いですが、声優を目指している方へ何かアドバイスはありますか。

土井美加

「よく見ること・よく聞くこと」ですね。
スタジオでも電車でも家庭でも、周りの人をよく観察してください。人がどんな気持ちの時にどんな声を出しているのかをよく見て、色んな引き出しを作っておくことが大事だと思います。
あとは、相手役のセリフをちゃんと聞くことですね。
自分だけで言い回しを決めつけてしまうと、相手と噛み合わなくなってしまいます。相手のセリフを受けて、セッションすることを心がけるといいと思います。

TJ

「セリフを交わす」ということですね。
ところで、土井さんは役と地声が違う印象がありますが。

土井美加

そうですね、声を変えるのは楽しい作業です。若い頃はあまり深く考えず、台本や絵を見て自然と出てくる声を大事にしていました。

昔、「シックス・フィート・アンダー」という作品で主人公のお母さん役をやった時、自分でイメージして低い声を作ったのですが、演出家の依田さんに「もっと高い声出して」と言われたことがあります。言われた通り高くすると「高さはいいけど、疲れた感じが出ていない」と。
どんな感じだろうと探りながら声を作ったのですが、その時は新しい引き出しが開いたように思いましたね。そこからは少し掘り下げて声を作るようになったように思います。

TJ

なるほど。「ワンピース」のコビーなんかは成長しますしね。

土井美加

そうなんです。ある時「こんなに大きくなっちゃったの?!」とビックリしてしまいました。私のままでいいのかな、男性に代わった方がいいんじゃないかなと思ったのですが、そのままやらせて頂けたので幸せです。

私、男の子の役って好きなんです。
女の子は3歳頃からすでに女ですが、男の子はわりと大きくなるまで純粋なところがあって、女の子と全然違うんですよね。自分と全然違うものを演じるのって楽しいです。

TJ

コビーも、これからもっと歳を取るかもしれないので楽しみですね。

土井美加

そうですね。昔からわりと自分は男性っぽい声質だなと思っていたので、色っぽい女性の役よりもやりやすいです。
逆に、宮島依里さんみたいな色っぽい役を難なくできる人はすごいなと思います。

実は、大昔に映画の吹替で大人の男性の役をやったこともあるんですよ。
看護婦をくどくシーンがあって、「なんで私が?」と思いながらやりましたが、やってみたらOKが出たのであれでよかったのかな。

TJ

他に挑戦してみたい役はありますか。

土井美加

洋画だと一代記ものに挑戦してみたいです。小さい頃からおばあさんまでを1人で演じるとか。
昔、ハロッズ創始者のサクセスストーリーで少女時代から50歳までを演じたことがあるのですが、もう一度やれたら嬉しいですね。
あと、1人で全役をやってみるのもいいな。「まんが日本昔ばなし」を2人全役で吹替えたように、いろんな役になりきるのは、やりがいがありそうだなと思います。
どちらもなかなか簡単なことではないと思いますが!

TJ

声優以外でやってみたい職業はありますか。

土井美加

歌が好きなので、生まれ変わったら歌手になりたいです。もっと歌の才能があったらいいなと思います。

TJ

歌手をされている声優さんも多いですよね。
最近ハマっているものはありますか。

土井美加

7月からウエストコーストスイングというアメリカンペアダンスを習い始めたんです。踊りこなせたら楽しいだろうなと思って、頑張って練習しているところです。

TJ

それは、楽しそうですね!
では最後に、土井さんにとって声優というのはどういうものですか?

土井美加

私を育ててくれたお仕事、ですね。

「ロスト・ガール」の収録は今も続いていて、土井さんのほかにも、有名な声優さんがたくさん参加してくださっています。
みなさんもぜひ吹替版で、どんな声優さんが出演しているかチェックしてみてくださいね。